大判例

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山口地方裁判所 事件番号不詳 判決

主文

被告人玄永奉同森五男を各懲役四月に処する

理由

被告人玄永奉は小野田市中川通所在の櫻山炭鉱運搬夫にして同炭鉱労働組合副委員長被告人森五男は同炭鉱採炭夫にして同組合員なるが同組合は昭和二十三年二月頃より使用者に対して賃銀値上を含む二十数ケ條の團体協約締結要求の爲團体交渉を爲し、その交渉が行き詰り同年三月十日より、ストライキに突入したところ同組合員多田羅貞雄外数名が右ストライキ反対運動を起したので被告人両名共右多田羅貞雄等に対し不快の念を抱いていた折柄

第一、被告人玄永奉は同年三月二十四日正午頃同市中川通所在前記労働組合会議室に於て同組合役員が集合して前記多田羅貞雄が組合を裏切る行爲を爲したと称して審議していた際予ねて多田羅貞雄が自己の惡口を云つていたといふことを聞いて憤慨しその場に於て手拳を以て同人を殴打して暴行を加へ

第二、被告人森五男は

(一)  前同日午後八時頃前記組合事務所横に於て同組合委員野原廣志が同組合員島村勇平と同人のストライキ反対行爲につき対談中島村勇平の腰部を足蹴りして暴行を加へ

(二)  更に同日午後九時四十分頃同市中川通所在前記炭鉱事務所廊下に於て同組合員中村勝治のストライキ反対行爲を責める爲廊下外に連れ出そうとして手拳を以て同人を殴打して暴行し

たものである

証拠を按ずるに判示事実中

被告人玄永奉の部分は同被告人の当公廷に於ける判示同旨の供述及多田羅貞雄に対する檢事の聽取書中同人の判示に照應する被害顛末の供述記載を綜合して之を認め

被告人森五男の部分は同被告人の当公廷に於ける中村勝治を殴打したとの点を除くその余の判示同旨の供述及島村勇平中村勝治に対する檢事の聽取書中同人等の各判示関係部分に照應する被害顛末の供述記載を綜合して之を認める

仍て判示事実はその証明十分である

尚被告人玄永奉は昭和十九年七月二十五日山口区裁判所に於て賭博竊盜罪に依り懲役十月罰金百円に処せられ当時右懲役刑の執行を終つたもの、被告人森五男は昭和二十年四月十一日山口区裁判所に於て竊盜罪に依り懲役一年六月に処せられ当時右刑の執行を終つたもので此の事は右被告人両名の当公廷に於ける各その旨の供述に依り明かである

法律に照すと被告人玄永奉の判示暴行の所爲は刑法第二百八條に該当するから所定刑中懲役刑を選択するが前記前科があるから同法第五十六條第五十七條に則り累犯加重を爲しその刑期範囲内に於て同被告人を懲役四月に処する、被告人森五男の判示暴行の所爲は各刑法第二百八條に該当するから所定刑中懲役刑を選択するが前記前科があるから。同法第五十六條第五十七條に則り累犯加重を爲す而して以上は同法第四十五條の併合罪であるから同法第四十七條第十條に則り犯情の重い島村勇平に対する暴行罪の刑に法定の加重をした刑期範囲内に於て同被告人を懲役四月に処する

仍て主文の通り判決する

(判事 〓富太郞)

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